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  • 2020.11.25 Wednesday
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当世風女神九柱図−アジサカコウジ+CHINA CHINA 2018カレンダーに寄せて−

 ムーサたちはゼウスとムネモシュネ(記憶の女神)の娘でありました。彼らは歌謡をつかさどり、また記憶を励ましました。九人の女神の群で、その一人一人が文学、美術、または科学というふうに、部門を分けてつかさどっていました。カリオペは叙事詩を、クレイオは歴史を、エウテルペは抒情詩を、メルポメネは悲劇を、テルプシコレは合唱舞踊を、エラトは恋の詩を、ポリュヒムニアは聖歌を、ウラニアは天文を、タレイアは喜劇を、という担任でありました。

 美の女神たちは饗宴と舞踊と、その他社交上のすべての快楽や、高雅な芸術をつかさどる女神でありました。(トマス・ブルフィンチ『ギリシア・ローマ神話』、野上弥生子訳、岩波文庫、1986年。

 

 前列中央にカリオペが座る。花を抱くのはエラトであり、その横に月のイヤリングをしたウラニアが座る。歴史書好きの少女クレイオが背後に控え、エウテルペの胸の三弦は左右にもう三弦ずつあり、ヘルメスがアポロンに託したリラが隠されている。ああ見えてメルポメネは赤い血を好む。三叉槍のペンダントがそれをほのめかす。クローバーはローマに弾圧された者たちへのオマージュでありポリュヒムニアの歌のテーマである。赤いショルダーバッグは笑いのパンドラの匣で、末娘タレイアは姉たちのお気に入りである。華麗でときに激しい舞踏でテルプシコレは雷や嵐を鎮めてくれる。扇の要をなすカリオペの胸にソバージュとあるのは、いつまでも垢抜けない人間に、物語の語りかたを教えてくれるメッセージである。

 彼女らのはたらきに感謝しつつ人はそれを模倣し、記念の館を各所に建てた。それが女神の館(Museum)である。2018年の一年を彼女らとともに過ごすことができる仕合せに深謝。


タンゴはうまく踊れないーアジサカコウジ夜個展2017-18に寄せてー

  黒いオルフェのギターが奏でるボサノバ。ボサノバの元型は、西洋音楽の影響を肌身に受けたブラジル民族音楽の変形であるショーロであった。そのショーロからサンバが発し、ボサノバへと枝分かれする。

 ピアソラのバンドネオン奏でるタンゴ。タンゴは、イベリア半島の舞曲のリズムに淵源を持ち、ブエノスアイレスで激しく展開する。

 土地の楽の音が西洋に導かれてかたちを変容させたサンバもタンゴも、そこにはどこか、弔いの匂いが漂っている。ヨーロッパとの戦いのすえ征服され、陸続きの南米大陸に、ヨーロッパの都合で国境がひかれ、分かたれたせいかもしれない。

 オルフェウスは、母がカリオペ、父はアポロン、ミューズと太陽神の子であった。アポロンは魔法の杖の代わりにヘルメスから、九弦の竪琴をもらい受けていた。カリオペがその音に惹かれたのはいうまでもない。ゼウスとちがってアポロンは女を騙しはしない。けれども、子には試練が降りかかる。父の業であろう。しかも決まって女がからむ。義母であるヘラの業であろう。嫉妬ゆえに、オルフェウスに愛されたエウリュディケはいのちを落す。この世にいないエウリュディケを探しにオルフェウスは黄泉の国に降りてゆく。

 古事記にも似た話が書き留められている。死者に会いたくなる夢は昔も今も、洋の東西も問わない。いつか、エウリュディケを救いだすことができるだろうかと……

 そんな想念に浸りながら、ひっそりとしたバーのテーブルにのったグラスの縁で、タンゴを踊ってみるもよい。

 

アジサカコウジ夜個展2017-18 „TANGO“

 

(場所)スタンドバーBEM (ベン)2階

    福岡市中央区大名1丁目-11-29-5

TEL092-721-6829

(営業時間)18:00〜翌1:00

(店休日)毎週火曜日と12月30日(土)〜1月4日(木) 


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