見よ、それは極めてピリカ。

 初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。「光りあれ。」こうして光があった。神は光を見て、良しとされた。〔……〕神はお造りになった全てのものをご覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。(日本聖書協会編『聖書』新共同訳)
 『創世記』第一章はこうはじまり、こうおわる。生物の創造は六日目の大仕事だった。だから七日目は安息なさったのである。(『創世記』第二章)日曜日が週のはじまりなのは、ヒトが誕生してから最初の日だからであり、その日が安息日なのは、神の行いを模しているからである。人間はそもそも神の似姿にすぎず、神に連なるのではなく、神からは切り離されている。だから神を崇拝してやまない。安息日には儀式を通じて神を敬うし、罪を犯しては神を畏れる。近寄りがたいのが神である。
 神に比べると、神々は、身近に過ぎる。来てもらわなくてもよいのにやってきては、ちょっかいを出す。ちょっかいの結果、ヒトは神々の逆恨みを蒙ることとなる。鷹に追われた白鳥に化けてゼウスはレーダーと睦み、ヘーレナーを儲ける。この娘がトロイア戦争を引き起す原因となったのは周知のことである。どんなに口説いても落ちない貞節なアルクメネーと、戦地へ赴いたはずの夫アンフィトリュオーンに化けて交わったゼウスは、ヘーラーの嫉妬を買って、生まれた子ヘラクレスには十二の難行が課されることになる。子だくさんの河神アーソーポスは、娘をひとり残らず神々の餌食にされたが、そのうちのひとりアイギーナをゼウスに攫われたばかりか、その行方を探す最中、岩に化けたゼウスに騙され、不意打ちを食らってゼウスの雷を浴びることとなる。不憫である。ゼウスが化けた岩はその後、シーシュフォスの劫罰に使われたとされるし、アイギーナの子アイアコスは生れ出ただけなのにヘーラーの怒りを買い、治める島民は飲み水を奪われ苦しめられる……
 万物の上に立つ君臨する神と、万物に介在してことあるごとにちょっかいをかけてきた神々との違いこそあれ、自然の営為やヒトの感情の不思議を、おそらくはこうやって説明してきた神話や宗教は、あらゆる現象を良しとしてきたのである。こたびの六十点もの絵画の創造主アジサカコウジは、それをピリカと名づけられた。見よ、それは極めて良かった。
 
アジサカコウジ冬個展2014『ピリカ』
新天町商店街「ギャラリーおいし」にて12月21日まで

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  • 2018.12.04 Tuesday
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